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■ 探偵トラブル例(盗聴発見編) ■
 ※これらのケースは相談者の許可を得て、事実と異なる修正をしております。
<D子さんのケース>

 ひとり暮らしの女子大生・D子さんは好奇心から出会い系サイトに手を出したところ、思い込みの激しい男に付きまとわれることになった。携帯電話番号しか教えていないのに、男はD子さんの住所や大学名まで知っている様子で、恋人気取りの電話が頻繁にかかってくるようになった。

 不安のあまりバイトにも大学にも行けなくなったD子さんは、何かの雑誌でストーカーによる盗聴の記事を読んだことを思い出した。電話帳とインターネットで調べたD子さんは、自分の住所から最も近いと思われる業者に連絡。事情を説明したところ、業者からは「それは間違いなく盗聴されています」との返事だった。
 見積もり金額は交通費別途で10万円ちょうど。一日でも早く不安を解消したかったD子さんは、迷わず調査を依頼。

 翌日、さっそく業者が訪れて調査を開始した。アンテナの伸びた小さな機械を手に持ちながら、ワンルームのD子さん宅をウロウロと調べまわった。所要時間は10分強。調査結果は「盗聴器無し」。間違いなく盗聴器があると業者が言ったはずなのに、とD子さんが問いかけても「昨日の電話を相手が盗聴していて、既に盗聴器を取り外された可能性がある」と答えられた。

 何となく腑に落ちない感想を持ったD子さんだったが、特に反論できるだけの根拠もない。言われた通りに料金を支払い、それを受け取った業者は帰って行った。


 自然にストーカー被害は収まったけど、業者がちゃんと調べてくれたのか不安という相談。これには返答に困りました。悪徳かもしれないが悪徳とも言い切れない、かなり微妙なラインです。この業者に非難されるべき所があるとすれば、「盗聴されていると最初に言い切った」「ハンディ型の機材(おそらくは広帯域受信機)だけで調査を終えた」という2点かと思われます。

 調査力については、業者ごとの格差がとても大きい分野ですから、2GHz以上まで盗聴波をスキャンできるか、スペクトラムアナライザーなど高性能機器は持っているか、盗撮カメラやデジタル盗聴器にも対応できるか、という質問は必ずやっておきましょう。調査能力の低い業者であれば、この段階でたいていはボロが出てきます。

 この他、ワンルームで10万円という調査料金は高すぎるとも思えますが、このあたりは業者によって様々なので悪いとも言い切れません。しかし少なくとも、調査料金が相場より高額で、依頼者への応対が不適当で、調査技術が低い業者であることだけは確かなようです。

 ここで更に問題になるのは、D子さんが携帯電話番号しか教えていなかったにも関わらず、相手の男がD子さんの住所まで割り出していたという事実でしょう。男が調査会社などに頼んでD子さんの個人情報を入手していた可能性も少なくありません。単に「盗聴されている」という先入観からでなく、ちゃんと「ストーカー対策」全般から考えるべきだったケースと言えます。この業者も経緯は知っていた訳ですから、そのあたりまでD子さんに教えるくらいのアフターケアが欲しかったところです。

電話帳で大きく宣伝している業者でも、高い調査技術を持っているとは限りません。むしろ莫大な広告費をまかなうため、普通よりも高額な調査料金にしている場合もあります。また、専門業者と見せかけて、仕事の無い探偵などが片手間で盗聴発見を行っている場合も少なくありません。仮に調査料金が同じだったとしても、盗聴発見業者の技術レベルや誠実さは、一般の人が予想している以上に大きな違いがあるということを憶えておくと良いでしょう。

この失敗談から学ぶこと
・調査場所(自宅)から近いというだけで依頼を決めない
・絶対に盗聴されている、と決め付ける業者には要注意
・ハンディ受信機しか持っていないような低い調査力の業者もいる
・依頼する前に、調査技術や機材のレベルをしっかり確認しておく



<E子さんのケース>

 住宅街に暮らす主婦・E子さんが自宅の庭で洗濯物を干している時、盗聴発見業者を名乗る男性に「お宅から盗聴電波が出ているので調べさせてもらえますか?」と聞かれた。そんなバカな、と思いつつも「付近の住宅を全て回りましたが、間違いなくお宅から出ています。今すぐ撤去しないと生活が全て覗かれますよ」との言葉に不安を感じ、とりあえず調べてもらうことにした。

 E子さん宅に入った業者は、アタッシュケースから黒いノートPC(らしきもの)や、アンテナの付いた四角い機械を取り出し、ヘッドホンを頭部に付けた。ノートPCらしきものの画面には、心電図のようなギザギザの波が見えていた。業者は最初に1階を調べ、次に2階へ機材を持って上がって調べていた。メモ用紙にボールペンで意味の分からない図形や計算式などを書いた業者は、「分かりました。1階の天井裏に仕掛けられているようです」と言った。

 工具箱を持って和室の押し入れから天井裏を覗き込んだ業者は、ものの10分程度で作業を完了。「見てください。これが取り付けてありましたよ」と、E子さんに小さな黒い金属製の物体を見せた。この物体を軽く叩くと、業者が持っていた小型受信機にも同じ音が入ってくる。どうやら本当に盗聴器だったらしい。安心してお礼を述べたE子さんに対し、業者は「調査料金と撤去費用、合わせて14万円の請求になります」と話した。業者は調査前に「調査料金は5万円です」と言っていたのだが、撤去費用がかかって14万円という額になったらしい。

 請求額に驚いて「最初の見積もりと違うしそんな大金は払えない」、と渋るE子さん。しかし業者は「あなたが調査を了承した時点で契約は成立しています。こうして実際に盗聴器が出てきた訳ですから、キャンセル扱いは出来ません。どうしてもというなら契約違反で訴えることになりますが、よろしいですか?」と少し強めの口調で言った。

 混乱したE子さんは結局、この業者の言いなりに支払いを済ませてしまった。この時は月初めで、銀行から下ろしてきて間もない生活費から支払うことになった。料金を受け取ると業者は、ほとんど無言でE子さん宅から立ち去ったという‥‥。


 これは悪徳業者の手口であると断定しても構わないケースです。依頼者からの問い合わせを待つのではなく、業者が自分から出かけて盗聴発見を行う「流し」の悪徳業者による被害が急増した時期がありました。現在は一時期に比べて被害件数も減ってきているそうですが、まだまだ無くなった訳ではありません。

 この手の業者に共通なのは「依頼者に恐怖心を持たせて、調査依頼を急がせること」です。なかなか調査依頼をしてくれない人に対しては、家庭のコードレス電話を受信して聞かせることによって「ほら、電話も盗聴されていますよ」と信じ込ませる手口もあるようです。コードレス電話と盗聴は基本的に無関係なのですが、よほどの知識がない限り、目の前で見せられると否定しにくいものです。このあたりは悪徳業者もよく考えています。

 また、最初に提示した料金と後で請求する料金が違うのはかなり問題です。まともな業者であれば、発見報酬や撤去料金など、別途費用がかかる可能性のある場合には、事前にきちんと説明するはずです。

 E子さんの大まかな記憶からは詳しく分かりませんでしたが、この業者が行った調査は、単なるパフォーマンスだった可能性の方が高いと思われます。「1階と2階で調べて、その中間付近に反応が出たから設置場所は天井裏に違いない」と言い切れるほど盗聴調査は単純ではありません。しかも、依頼者から確認を得ることなく勝手に取り外してしまった点が、自作自演だったという可能性を強く匂わせます。業者自身が持ち込んだ盗聴器を、いかにも「発見」したかのように見せかける手口は、今も昔も主流になっています。

 流しで営業をしている業者の全てが悪徳という訳でもありませんが、すぐに調査を許してしまった点はE子さんの失敗でした。たとえば「兄が無線機メーカーに勤めておりますから、兄に相談してから決めたいと思います」といった感じで問いかけてみれば、ほとんどの悪徳業者は退散するはずです。

 これらのケースに限らず、悪徳な盗聴発見業者には、ひとりでいる女性が多く狙われます。無線など機械全般に対する知識が少ない、盗聴への恐怖心が強い、近所へ噂が広がるのを恐れて泣き寝入りする場合が多い、といった好条件を満たしているからでしょう。悪徳業者の手口をできるだけ多く知って、いざという時にも冷静な対応を心がけてください。

この失敗談から学ぶこと
・いきなり訪問してくる「流し業者」にはトラブルが多い
・私生活が覗かれる、というような脅迫に乗せられてはいけない
・悪意のある流し業者には、「無線に詳しい者に相談する」という撃退法が効果的
・撤去費用など、追加料金については事前に確認しておく
・自分で勝手に盗聴器を取り外してしまう業者は、自作自演の可能性が高い
・ひとりでいる女性などはターゲットになりやすい傾向がある


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